お坊さんのトリセツ Vol.3
横浜南区 經力寺 栢森御住職
Q なぜお坊さんになられたのでしょうか。
A 平成13年にお坊さんになったのですが、もともと家が寺院でございまして、生まれた時からそういった環境でした。学生時代は信者の立ち位置でお寺のために力になれればいいかなと思っていたのですが、後の師匠にあたる日誠上人が本山でお役をされていた時にお会いしたんですね。その際に、「もちろん信者でご奉公もできるが、お坊さんになってできる事のほうが幅が広がるよ」とお声がけいただき、その言葉が決定打となりましてお坊さんになる事を決心いたしました。
Q ご住職になってうれしかったことは何でしょうか。
A 住職というのは、そのお寺にお坊さんがどれだけいようと一人しかいないんですね。頼りにされる存在なんです。經力寺の住職になる前は大きなお寺のたくさんいるお坊さんの一人としてご奉公していたのですが、その時は自分の持ち場、守備範囲というものがあって、悪い言い方かもしれませんがそれをこなしていれば良かったんですね。ただ、住職になるといいことも悪いことも全ての結果は自分の責任ということになります。だからこそ、自分が発する言葉が重みをもって受け止められているんだなと実感するんですね。そういう立ち位置で御信者の皆さんとともにご奉公できるといううれしさがありますね。
Q 反対にご住職になって大変だったことって何でしょうか。
A 先ほどの回答と裏表になるのですが、住職になると言葉に重みが出ます。以前は無責任に発言していたことでも、住職の立場で発言するとそれがすぐに反映されてしまう。ですので、よく考え慎重に発言していくことが求められる立場という点では、大変というかいつも気を付けています。
Q ご住職って普段何をされているんでしょうか。
A 一般の人は「住職というくらいだからお寺に住んで、お寺の中で何かしてるんでしょ」というイメージだと思うのですが、お寺の中での事務仕事やお坊さんとしての勉強ももちろんありますが、基本的には信者さんや困っている方の力になるためにお宅に訪問させていただいてお話を伺うということがご奉公のメインになっています。お坊さんも世の中に溶け込んで仏教をお伝えするというところが大切なことだと思うんですね。ですので、お寺半分、外回り半分というところでしょうか。
Q お休みの日は何をなさっていいますか。
A 基本的にはお寺は365日の営業ですから、お休みというお休みはないのですが、日中に少し気分転換の時間を頂くことはありますね。
Q 気分転換には何をなさっていますか。
A 最近は釣りが好きで、コロナになる前は月に1回くらい行ければいいかなと思っていたのですが、昨年は1回しかいけませんでした。他には、学生時代は建築に興味があってアジアの世界遺産を回っていた事があったんですね。その時に写真の取り方なんかにもこだわり始めて、最終的には写真を取ることが目的かカメラをいじることが目的なのか分からなくなっていったこともありました(笑)。今でもカメラは好きですね。
Q 經力寺の歴史についてお伺いできますか。
A 1918年(大正7年)に創建されて104年目ですね。一番最初は阪東橋の横浜橋商店街の近くにありました。その後、少し今の位置に近い白妙町に移りまして、3箇所目がこの場所ですね。
Q 經力寺のアピールポイントって何でしょうか。
A 大きなお寺ではないので、お寺にお参詣している方の顔が分かる、皆さんにお声がけできる点は經力寺のいいところだと思いますね。あとは入口横にある桜ですね。福島県三春町の「滝桜」という樹齢1000年越えの美しい桜があるのですが、その樹から分けていただいたのが入口横にある桜になります。年々咲く花の数も増えてきました。
Q ご住職の座右の銘って何でしょうか。
A よくいう方が多い言葉かと思いますが、「不易流行」という言葉でしょうか。変わらないものが下地にあって、その上に今の時代に併せた新しいものを積んでいくという意味で、近い言葉には「温故知新」という言葉がありますね。私たちで言えば、「信心」が下地の部分に当たるのかなと思いますが、その上に今の人たちが求めているものとどうくっつけていくか、それをいつも頭に置いていますね。
Q 一般の方へのメッセージがあればお願いします。
A 皆さんはかかりつけのお医者さんはお持ちだと思いますが、かかりつけのお寺を持つ方はそういないと思います。經力寺は皆さんのかかりつけのお寺になれるように、間口を広げ、敷居を下げてお待ちしています。かかりつけのお医者さんといっても、毎週のように通われる方もいらっしゃると思いますし、年1回調子が悪い時に通う方もいらっしゃるかと思います。お寺も同じで、年1回の方もいらっしゃれば、月一回の人、毎日の人、人それぞれではありますが、本堂に上がってきていただいて一緒にお参りさせていただき、心のかかりつけとして皆さんの中にありたいと思っています。外で庭掃きなどしていることも多くありますので、ぜひお声がけいただければと思います。