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お坊さんのトリセツ

お坊さんのトリセツ Vol.9
相模原 妙現寺 鈴江御住職

Q なぜご住職になられたんでしょうか。

 自分がお寺に生まれてきた御因縁で、お坊さんになるべくしてなれたと思いたいです。具体的には昭和56年にお祖師様(日蓮聖人)の700回ご遠忌がありまして、この年に何人かの方々と一緒に得度をさせていただきました。小さいころからお坊さんになりたいという思いが、夢としてかなった瞬間でもありましたね。

Q 小さいころにお坊さんになりたいと思ったのはなぜでしょうか。

 父が先代の住職だったのですが、とてもかっこよく見えていました。御信者さんに接する姿とか、普段家では見ることができない姿に、子供ながらにその包容力というか、すごいなと感じるものがありました。そういった姿を見てあこがれていたんだと思います。

 また、お寺にいらっしゃるお坊さんを見ていても、オーラがあるといいますか、人のために生きている姿は子供ながらに「かっこいい」と感じていましたね。

Q 学生時代はどんな学生でしたか。

 中学2年生(14歳)で得度(*1)したんですが、学生時代はたくさんの社会勉強、友達を作りたいということで先代のご住職(お父様)に頭を下げて、部活にも力を入れさせていただきました。学生時代は硬式テニスをやっていまして、インターハイの予選なんかにも出ることができましたが、予選どまりでしたね(笑)

(*1)得度:お坊さんになること

Q 大学卒業後は就職はされずにお坊さんになったということでしょうか。

 そこが少し横道にそれまして(笑) 

 学生時代にテニスをやりながらも、海が好きだったものですからスキューバーダイビングをやっていたんですね。それがすごく楽しくて、大学卒業する少し前くらいからお坊さんに戻るつもりはありつつもダイビングの仕事をしてみたいという思いがあって、大学卒業してから1年くらいはインストラクターの資格取得などをしながらダイビングの仕事をしていました。その後、1年くらいして京都のお坊さんの修行のための学校に入ったという経緯ですね。

Q スキューバーダイビングができるご住職はそう多くないと思いますが、おすすめのダイビングポイントなどあれば教えてください。

 最初は伊豆とか近場の海に行っていたんですが、おすすめは沖縄の阿嘉島(あかしま)ですね。本当に小さい島なんですが、そこに行ったとき感動しました。阿嘉島に来られる外国人の方も、「世界にはグレートバリアリーフやモルディブなどいろいろ美しいポイントはあるが、やっぱり阿嘉島が一番だ」と言ってます。学生時代は毎年のように行っていましたね。

Q ご住職になってうれしかったことってありますか。

 大変なことも多いのですが、一般の方でもお寺にサッと入れる、何かあったときに「心の病院」のように敷居高くなく入れるようなお寺を目指していました。住職になってから11年間で、近隣の方やHPをご覧になって来られる方など、そういう方々が増えてきていることはうれしく感じますね。

Q お休みの時ってご住職何されていますか。

 お休みというお休みはないのですが、若いころは時間を作って大好きな海に行ったりしていましたが、最近は趣味のサックスを吹いたりしています。お寺で催し物があった際に住職は何か披露しなければいけないのですが、私自身皆さんに披露できる芸がなかったので、何か身に着けようということで15年くらい前にあこがれていたサックスの教室に通い始め、今でも続けていますね。

Q もしお坊さんになっていなかったらどうなっていたと思いますか。

 学校の先生のような人とかかわる職業に就いていたかもしれませんね。大学時代は教職の授業も取っていましたし、中学の時の部活の恩師がとても人間味があふれた方で、その先生の影響が大きいかもしれません。

Q 座右の銘があればお伺いできますか。

 「一人も取りこぼさない」という言葉が好きで、大切にしています。先住の背中を見ながら育ちましたが、先住はどんな御信者様ともニコニコしながら、時間関係なくお話をするような先住で、そういう皆さんと接する姿を見て皆さんを「救いたい」という思いを感じることができましたね。また、私が住職になってからも、困っている、悩みを抱えていらっしゃる方に「祈り」を通じて解決に導けた方もいらっしゃいますが、中には助けられなかった方もいらっしゃる。そういう経験を通じて、これからお会いする方は一人も取り残さず皆さんが仏様につながれる、そのためのパイプ役になりたいという思いですね。

Q お寺の歴史をお伺いできますか。

 相模原という地名の通りに、ほとんどが原っぱで、ススキが生えていて、桑畑が広がるようなところでした。今は70万人の方が住む都市になりましたが、昔はかぜが吹くと土煙が上がり、雨が降ると地面はどろどろになるようなあまり人が住めるようなところではなかったと聞いています。その当時は人数が少なかったこともあり、相模原にはお寺がなくて、お参りしようとすれば東京や、津久井郡にあるお寺までバスで半日かけて行かなければならないような状況でした。

 昭和23年に御信者さんが発起されて、近くにみんなが集える道場を作りたいということで動き始めました。活動をしている中でたまたま今の土地を求めることができまして、昭和27年に本堂を建立することができました。その後御信者さんの数も増えてきたこともあり、昭和58年に新しい本堂を建立し今に至っています。

Q お寺の自慢があれば教えていただけますか。

 御信者さんたちが一生懸命に建立されたお寺だということですね。それに加え、妙現寺の御信者さん達が、和気あいあいといつも明るく修行されている姿を見ると、これが妙現寺の自慢だなと思いますね。一般の方にもぜひお寺に来ていただいて、信心をしている人と接していただければ、何か感じていただけるのではないかと思います。

Q お寺ではクラッシックライブもされているんですね。

 100万人クラシック財団の方に来ていただいて、コンサートを実施しています。「100万人のクラシックライブ財団」の皆さんは、全国で発表の場が少ない優秀な音楽家に対して、救いの手を差し伸べたいということで活動されているんですね。その会場として妙現寺をお使いいただいています。クラシックを聞く時ってドレスコードがあって、入場料も高かったりするのですが、100万人のクラシックライブではドレスコードもなし、入場料も1000円で気軽に皆さんにクラッシックに触れていただくことができると思います。是非皆さんタイミングがあればお越しいただければありがたいです。

Q 最後に皆さんにメッセージをいただければと思います。

 苦しんでいるから来る、悲しみを癒しに来るというのも一つ大切な理由ではあるのですが、本来のお寺ってみんなが集って、どういう生き方をすれば人として生まれた甲斐のある人生が生きれるのかということを勉強する場所でもあると思うのですね。ぜひともお寺に足を運んでいただいて、耳を傾けていただければありがたいと思います。そうすることで、自分というものがよくわかって、自分探しをせずとも、自分の様々面に気が付くきっかけを持ってもらえると思います。ぜひ相模原妙現寺にお越しいただければと思います。

本日はありがとうございました。

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