紀州の武家に生まれた権兵衛は、父の死後に農家となりました。
慣れない手つきで荒れ地を耕し始めますが、種をまくそばからカラスに食べられてしまうほど、「権兵衛が種まきゃカラスがほじくる」と、近所の農家の笑いものとなっていました。
それでも権兵衛は試行錯誤しながらひたむきに農業に取り組み続け、やがて村一番の農家となったのです。

私たち僧侶は日々、みなさんの様々なお願いをお寺でご祈願させていただきますが、一度お願いをさせていただけば、それでそのお願いが叶うのかといえば大変な心得違いです。お願いが叶うように日々精進するところに、仏さまのお力添えをいただけるのです。

みなさんもいろいろな目標に向かって努力されていることと思いますが、「権兵衛が種まきゃカラスがほじくる」の例えのように、うまくいかない事や途中で投げ出したくなってしまう事もあるかもしれません。
それでも権兵衛のように、あきらめずに日々コツコツと努力を続けることが大切です。