今日あなたに起こった、奇跡の話。

本日は本門佛立宗のお寺にお参詣いただきありがとうございます。

さて、みなさんは「少欲知足[しょうよくちそく]」という仏教の教えをご存知でしょうか。
「少欲知足」とは、法華経普賢菩薩勧発品第二十八[ほけきょうふげんぼさつかんぼっぽんだいにじゅうはち]に記されています。
「欲少のうして足ることを知れ」と読み下します。
欲を抑え、本当に必要な程度で満足することが、自他の幸福の根本であるという教えでございます。

私たち人間は欲の多き生き物です。
しかしそれは決して悪いことではございません。
欲は生命を支える大事な心の働きであり、欲があるからこそ人は存在できているのです。
私たちには、飲食欲があり、食べなければ死んでしまいますし、食べたり物を買ったりするには今の世の中、お金が必要ですから、財欲もあります。
寝なければ身体を壊してしまいます。これが睡眠欲です。
色欲も子供を残すという種の存続のために必要ですし自然なことです。

要は欲を善用すれば、自他を生かして向上させる大切なものであるといえるのです。
しかし、この欲の上に「貪」(貪り・飽きることなく欲しがること)がついてしまい貪欲[とんよく]になってしまうといけないのです。
諸々の苦しみの原因というのは貪欲こそがもととなっているのです。
「あーしたい、こうしたい、あーなりたい、こうなってほしい」等の色々なお願い事、欲が次から次へと湧いてくるものです。
叶えてもらいたい貪りの欲を出せばきりがありません。

そんな中、数あるお願い事の中で、「何よりも達者でくらす御利益[ごりやく]」、何事もなく一日が暮らせる事を一番に望む人はどれだけいるでしょうか。
ごく普通に生活をしておりますと、今日一日が終わったら明日が必ず来る、自分が事故にあうことはないと勝手に思い込んでしまいます。
いつ何が起こるかわからない無常[むじょう]の世の中で生きる私たちが、健康でいられること、無事に暮らせることが、実は一番ありがたいこと、「こんなもうけ(得したこと)はないと」喜べる事を忘れてしまっております。
本当に必要な程度で満足する、無事に毎日を暮らしていける、生きていること。
こんなにもありがたく、喜ばしいことはないのです。

まさに毎日が奇跡の連続なのです。